2010632 ランダム
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第19話 転生の真実

第19話 転生の真実

シンジの住居ですっかりくつろいで寝っ転がってビールを飲んでいる龍和尚。
その脇で、明日の朝食用にとパン生地を捏ねているナーマオウ。
食事の後片付けを終えて部屋に入ってきたシンジは、なんだか嬉しそうにその光景を見ていた。

夕食前にナーマオウから、シンジの身体検査の結果について、一通り説明されていたが、今ひとつ理解できなかった龍和尚が、思い出したように、ナーマオウを振り向き、改めて質問した。

「さっきの話やけどな、つまりなにか?今のシンジの身体は普通の人間の身体と全然変わらへんっちゅうことなんか?」

「そうデス。今はごく普通の14歳の少年の身体デス。多少、鍛えられている点が違いますケドネ。」

パンを捏ねる手を止めて、ナーマオウが答えた。
やっぱり、自分のことだけに気になっていたので、シンジも質問する。

「じゃあ、もう変身は出来ないんですね?ドクター。」

「ええ、そうデス。でもこれは、喜ばしいことなのデスヨ。あなたは普通の人間として生まれ変わったのデス。」

改造人間でなくなったことは嬉しい。しかし、あの力がなければ、助けられなかった命もあった。
シンジは、もうライダーの力はなくなった、という事実を噛みしめていた。

「でも、なんでそんな事になったんや?あのネルフっちゅうところで再改造手術でもされたんか?」

「シンジの話を総合すると、そうではないと思われマス。おそらく、エヴァと呼ばれているモノの中で、肉体が再構築されたものと思われマス。」

「全然、わからんわ。」

「エヴァの中に取り込まれたシンジの魂と言うべきモノは、一旦肉体から離れてエヴァの中にいたシンジのお母さんと接触したと考えられマス。」

「魂と肉体が離れるやて!!んな、あほな!妖怪人間やあるまいし!」

「お、和尚!その例えはちょっと・・・、傷つきますよ、流石に。(涙)」

「おう、悪い、悪い!こら、ナーマオウ!シンジが傷ついてるやないか!!」

「・・・・・・・・・・・・・・、魂が離れた後、改造人間としての身体は素粒子レベルで分解され、生身の肉体が再構成されたと考えられマス。」

「なんで、そんなことが起きるんや?」

「シンジは、エヴァの中でお母さんに会ったと言っていまシタ。シンジの肉体を普通の人のように戻したのは、シンジに普通の人でいて欲しいと願う母親の意志の現れだと思われマス。」

「そんなことが出来るんやったら、シンジの母ちゃんは、まるで神様やな!」

「そうデスネ。しかし、彼女は神そのものでは有りマセン。おそらくは、神に捧げられた生け贄のような存在なのデショウ。」

「なんじゃそりゃ!」

「エヴァの中に彼女は取り込まれて居まシタ。彼女の願いを叶えて、エヴァがシンジを人間に戻した、と考えて良いデショウ。」

「ほんなら、エヴァっちゅうのは、ロボットやのうて神様やって言うことか?」

「今の科学では解明できないことが出来る存在を神と呼ぶならば、エヴァとは、そのような存在なのでショウネ、よくは分かりませんが。シンジはお母さんから、エヴァのことを神の鎧と言われていマス。神の如き力を持っているものと考えてもいいかも知れまセン。」

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「ドクター。神の鎧ってどういう意味だと思いますか?」

「さっぱり、分かりまセン。」

「なんや、自分、役に立たんのお!」

「ただ、一つ言えるコトハ。」

「?」

「お母さんは、神の鎧をあなたに託したということデス。」

「!」

「神の鎧がどういうモノで、何のために使うべきなのか。それは、お母さんの想いと共にあなたにきっと伝えられている筈デス。今は忘れているだけデネ。」

「有り難うございます!ドクター!!」

「な~んや!お前、ええ格好ばっかりしてオモロないぞ!」

「一つ言い忘れていたことが有りマス。」

「なんや?」

「シンジの身体は、普通の人間と同じように再構成されていマスが、遺伝子情報に、ごく僅か異なる部分がありマス。1%にも満たない量ですガネ。」

「ド、ドクター、それってどういう意味ですか??」

「普通の人間と同じように見えて、微妙に違うということデス。」

「だから、どう違うっちゅうんじゃ!?」

「さっぱり、分かりまセン。」

「ド、ドクターー!!!」「やっぱり、役に立たんやっちゃのおーーー!!!」

深夜の町並みに和尚とシンジの叫び声が響き渡った。

 続く


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